2012年6月7日木曜日

できないことの自覚

高槻でのスキルアップクラスの3日目。
本日のファシリテーターは田中遊さんでした。まず受講生に「何をスキルアップしたいのか?」を話してもらうところから始まりました。
 さて、そもそもスキルアップと講座のタイトルに謳っているように、この講座は「演技技術の向上」を目指しているのですが、「じゃあ具体的に、何を向上させるの?」ということは実は大変難しい問題です。2時間×4日の講座で「スキルアップ」が果たせるの?と問われれば、これもかなり難しいと答えざるをえません。演技の要素は多様でかつ一人一人にとって演技における課題もまちまちです。どんな演技がいい演技なのかその価値基準ですら曖昧です。もちろん経験や目指す目標によっても違ってきます。ラボではいろいろな演劇に役立つ「基本的な技術」に焦点を定め、そこを重点的に訓練することをコンセプトとしていますが、そもそも「何を基礎技術とするのか」についても、いまだ議論や検討を続けていますし、どの程度を目指すのかについても意見が別れる所です。(講師陣と勉強会を持って、だんだん明確にしていこうとしている途中です)それにしても、最低限必要といえる技術でも講座で田中さんがおっしゃっていたようにすぐには身に付きません。「(思い通りにならない)身体や意識を自在にするためには、訓練の継続が必要」というのが、やはりあたりまえのことです。
 しかし、あえてこうした講座を行う理由の一つは、「じゃ、自分は何をスキルアップするの?」の「何」を見つけることが大事だからだと思うからです。自分の問題がはっきりすれば、日頃の練習や目的意識が向上すると考えられるからです。ひいては上達も早くなるという訳です。
今日の田中さんのワークショップはその「何」を見つけて帰ってもらうことが大きなテーマだったように思いました。シアターゲームやエクササイズを行なう中で、田中さんはそれが役者になぜ必要なのか、多くの「ヒント」を与えてくれます。「ピン」とくることも「?」なこともあったと思いますが、経験も関わり方も違う参加者ですから、全ての人に全て等しく響かないのは当然です。ワークの体験や田中さんの「ヒント」を通じてそれぞれが、自分にとっての「何」をつかんでいただければ、それがスキルアップへの大きな一歩だと思います。