2013年7月30日火曜日

セリフを相手に向けるには?

こんにちは。ブログ担当の平田です。スキルアップクラス7月最後となりまして、残り2か月です。ぜひ1回からでも参加してみてください。
さて、4週目の講師は平岡秀幸先生です。前半は股関節を中心とした身体の動き、後半は台本を使っての講座でした。

前半、まずは足首→膝→股関節と順番に回していきます。もちろん1か所動かせば他の部分もついてくるのですが、その部分を意識して、かつ他の場所も一緒に動くのを意識して回します。
他にも、膝を曲げる動きを股関節の方を意識する、足に負荷をかけながら直角に曲げる、座って伸ばした足を横に倒す、などなど……じっくり時間をかけて行いました。
こうして身体の動きを時間を意識するのに、つい考え過ぎてしまうことがあるので、もっと感覚で感じ取れたらいいなと思います。

後半は、シェイクスピアの『マクベス』の台本から主君の暗殺を企てるマクベスの妻のセリフを使います。このセリフは、妻がマクベスに暗殺をけしかけるので、それを言ったことによる相手の反応、どういう風に話せば効果的かなどを考えます。たとえば、ただぐいぐい押すのではなく、少し引いてみたり、たたみかけてみたり。そこでも大切なのはその変化を自分勝手につけていくのではなく、あくまで相手の反応を想像してセリフを言うことです。
相手役のマクベスの位置に立ってセリフを聞いてみる、というのも行いましたが、そうすると、セリフが自分にちゃんとかけられているかどうかがよくわかります。
しかしわかっても実際に言うのは難しく……たとえば役の気持ちをどんなに考えられていても、それを表現するための技術、特に知識が伴っていないと表に出すことができないというのを改めて感じました。

身体中心、言葉や呼吸、台本を使う、などなど先生によっても色々な内容の講座を開講しています。ぜひ、もっと多くの方に参加していただきたいと思います!

2013年7月26日金曜日

気持ち悪いところ

おつかれさまです!

7月24日のスキルアップクラスの講師は、平岡秀幸さんでした!


まずはアップからです。
スキルアップクラスは四人の講師の方が週替わりで担当されます。
なので、四人それぞれのアップの仕方を知ることができるのも、複数の講師の方から教わるメリットではないかと思います。
平岡さんのアップは、身体の繋がりをしっかりと感じるアップです。
ゆっくりと足首を回します。そうすると膝も動くはずです。もっと言えば、かすかにかも知れないけど、股関節、骨盤も動いているはずです。
そうした、身体のつながりをしっかりと感じながら、ゆっくりとアップをしていきます。
ゆっくりと足首を回したら、次は膝を少し意識的に大きく動かしながら足首を回します。
そうすると、さっきよりも骨盤も大きく動くことがわかります。

肩を回すときも同様です!
肩を回すというよりは、肩甲骨が広がって、胸が閉じてきて、肩が下にさがって、今度は胸が開いてきて、肩甲骨が閉じていく、っといったように、「肩を回す」ことが大事ではなく、肩を回すことで動く箇所をしっかりと意識して、そうすることでほぐしていくというのが大事なのだと思います。

繰り返しになりますが、スキルアップクラスを通して、様々なアップを経験することができています!
アップは、そのあとにどういうことをするのかによっても変わってくるし、その日の自分の状態によっても変わってくると思います。
なので、様々なアップの仕方を知っておくことは、将来絶対に役に立つと思います。

・・・

アップのことだけで長々と書いてしまいました・・・

最後に、タイトルに書かせてもらった「気持ち悪いところ」のことを書かせてください。

ワークの最後に、マクベスとマクベス夫人のやり取りの部分をやりました。
その中で、演じている最中に二人の距離が近すぎて居心地が悪い、「気持ち悪いところ」がでてきました。
そのときに、気持ち悪いからっと言って、役者同士が気を使いあって、それらしい場所に動くのはしてはいけないことだと平岡さんが教えてくれました。
「気持ちの悪いところ」から先に動くのは、そのときその瞬間にステータスが下の者であるはずだと。
ここで言うステータスは、今までの平岡さんのワークのなかで出てきた言葉の意味です。
社会的な地位や、年齢や立場などももちろんそうですが、それ以上に、
「その瞬間に主導権を握っているかどうか」
っといった感じではないかと思います。

詳しくは平岡さんのワークに参加してください!

話は戻って、伝えたいのは、「気持ち悪いところ」とはそういったステータスの上下がはっきりと見えてくる場所でもあるのだということです。
だからこそ、気持ち悪いからといってそういった場所にならないように動こうなんて考えるのは間違いで、「気持ち悪いところ」こそしっかりと向き合わないといけないのだなっと学びました。


今回のワークは参加者がとても少なく残念でした。
予約不要の飛び込み大歓迎のワークです。ぜひみなさんきてください!


西村

2013年7月23日火曜日

呼吸を大切に


こんにちは。ブログ担当の平田です。スキルアップクラス土曜日3週目の講師は、田中遊さんです。今回の前半は呼吸と声、後半はそれを意識しつつ身体も使う内容でした。

初めはいつものように、身体を伸ばしながら、呼吸と地面につけている足を意識します。
床に仰向けになり、天井のタイル1枚分に向けて、「あー」と声を出し、しばらく続けたあと枚数を増やしていく、というのを行ったときは、集中する対象がはっきりしていると息の変化がわかりやすくなりました。
寝転がった体勢から、うつぶせになったり、座ったり立ち上がったり、身体の形を変えていき、それによる声、呼吸の違いも観察していきます。実際舞台でまっすぐ前を向いて立ったまま話すことはほとんどないと思うので、色々研究してみようと思います。
「あー」だけでなく、出したい声を出しながら部屋の中を歩きます。大事なのは自分だけで声を出すのではなく、周りの音も聞くことです。そこから誰か1人が止まったら全員止まる→誰か動き出したら全員動く、というのをやりますが、集中しながら呼吸は詰まらないようにするのはやはり難しかったです。

さて、後半はまず「フローズンピクチャー」をやります。出されたお題(公園、家事、夕食など)を3人で身体だけで表現する、というものです。パッと出て来る発想力も大事かもしれませんが、出て来なくてもとりあえず何か作ってみると1人が指針になって周りが出来上がったりします。逆に意思疎通が出来ていなくて全然違うものになってしまったとしても、そのどこを勘違いしたか?というのを見てみるのも面白いということでした。今回はお互いにどうしよう?となってしまうことが多かったのですが、またやってみたいと思います。

最後は上と似ているのですが、まず1人がなんでもいいので(木、ベンチ、~している人、など)身体で表現して、自分が何をしているのか言います。それに合わせて他の人が入り、絵が出来上がったら今度は1人残して、その残った人から発想出来る絵を作り……と、どんどん繋げていきます。
シチュエーションにとらわれがちになると、なかなか別の絵に繋がっていかないのですが、例えば人ではなく物で入っていくと、がらっと違った絵に移れることがあります。また、何になろうか?と考えてから入るのでなく、構図としてこの位置に入ると綺麗に見えるところへ入ってしまってから何になるか考えるという手順でもできる、というのは舞台に実際立ったときの見え方の練習にもなります。
途中から静止画でなく動いたり喋ったりもしていったのですが、これも動きだけに集中し過ぎて息が詰まると言葉が届かなくなります。普段普通にしているはずの呼吸が、こういう場面だと忘れがちになってしまいます。常に呼吸を大切にリラックスしておく練習をするのが大事だと感じました。

2013年7月18日木曜日

言葉であり、声であり、呼吸であり

おつかれさまです。

7月17日のスキルアップクラスの講師は、田中遊さんでした!

歩きながら、動きながらのアップののち、
前回のときにもやったワンワードというワークと連想ゲームをしました。

ワンワードでは

「明日の デートに ワンピースを 着て 行こうと 思った けど 
やっぱり 赤い スカートに しよう! だけど ジーンズ の ほうが ・・・」

って感じのなかなかに優柔不断な女性の話ができあがりました(笑

このワンワードは、一人が一つの単語だけを言って次の人に回して、それを受け取って次の人がまた次の人に一つの単語で回すっというものです。
大切なのは発せられたひとつの単語をうまくつないでうまいストーリーにするのではなく、発せられた呼吸や音や表情をしっかりと受け取ることだと思います。
それをしっかりと伝えること、受け取ることができれば、多少変な文章になったとしても、とてもおもしろいものが紡がれるのだと思いました。

後半は、モノローグを実際に読みました。
二、三行の言葉をそれぞれ読んで、みんなでその言葉について考えて、またそれぞれが読んで
っといったことを行って、「どう読むか」、「どう読めるか」っといったことを学べました。

当然、「これが正解です!」なんていう読み方はありません。
だからこその言葉の広がりの大きさに驚かされました。

たった二、三行の言葉が、たくさん、無限に、大きく大きく広がっていくことを感じました。

その大きく広がった言葉を、どのように相手に伝えるのか。
そう伝えるには、どのように読めばいいのか。

田中さんのアドバイスを受けながら、それぞれが考える時間をじっくりと持つことができたワークでした。


繰り返しになりますが・・・
言葉の広がりは本当に大きいですね!


西村

2013年7月17日水曜日

呼吸と声


こんにちは。ブログ担当の平田です。スキルアップクラス72週目土曜日の講師は、大熊ねこさんです。今回は水曜日に引き続き、声を中心とした内容でした!

いつも通り参加者同士でお互い足をマッサージしつつ自己紹介と、前回「声」を扱ってみてどうだったか、もしくは「声」に関する悩み事などを話します。呼吸に集中することで、身体のバランスを保ちやすくなった、話したことをよく聞き返されるなど色々な話が出ました。

まずは呼吸から入っていきます。今の自分の呼吸がどうなっているか(落ち着いている、少し浅い、など)確認をします。
次に、顔の部位を意識しながら呼吸をします。座って息を吸いながら顔だけ横を向く。そして、舌を出しながら一気に息をはきます。他にも目を見開いて息を吸う、つぶりながらはく。鼻をふくらませて吸う、はく。など、意識する場所を変えていきます。
わたしはこれが結構難しく、今回の時間内ではどの辺がどう変わったか、というのをあまり実感出来なかったのですが、家で試行錯誤してみて、各部位と連動すると普段より丁寧な呼吸になっているように感じました。

顔だけでなく、身体の部位でも呼吸していきます。片手をあげて、身体を横に曲げ(体操のようなポーズです)反対の手であばら骨のあたりを触りつつ、呼吸をします。そこに息が入るような意識を持ちます。他には、身体を少し前に曲げて、肩甲骨の辺りに羽が生えるようなイメージで呼吸をしたり…。お腹に息を入れる腹式呼吸はよく教わりますが、それ以外の場所となるとなかなかイメージするのが難しかったです。
それから片足を前後に動かしながら、左右に動かしながら、片足立ちで、などバランスを取りつつ呼吸をします。この、呼吸に集中するとバランスが取りやすくなるイメージはつきやすかったのですが、実践するのはやはり難しかったです。ちょっとふらっとなると一気にそちらへ意識がいくので、余計にバランスが崩れてしまいます。

最後におこなったのが、2人組で、1人が片手を色んなように動かします。握ったり開いたり、広げたり曲げたり素早くしたり遅くしたり…動かし方は自由です。もう1人は、その動きを見てそれにあった声を出します。
難しそうに見えましたが、意識してこういう声を出そう、とか身構えなくても相手の動きに引き出されるような瞬間が多くあったように思います。動かす側も、相手のこういう声を聞いてみたい、や、慣れてくるとこの方向の声を出したいんじゃないか?とシンクロするような瞬間もあって、色々発見がありました。

そんな風に、自分の中から丁寧に呼吸と声を、相手のいる状態での声など色んな視点から「声」というものを見ることができました。また、身体の各部分で呼吸をする、というのは感情をともなった声や身体の使い方を探るヒントにもなるように思いました。


2013年7月11日木曜日


おつかれさまです。
7月10日のスキルアップクラスの講師は、大熊ねこさんでした。

パンダさんという愛称の大熊ねこさん。
ワークのときにはいつも、どこかにパンダがいます。
この間は、靴下にいましたし、今回は手拭いにいました!
パンダ、和みますよね~

さて、ワークの内容はというと!
今回は、「声」を中心においたワークでした!

とはいっても、実際に声を発したのは後半の3,40分くらいだと思います。

それまでは、身体と呼吸をしっかりと感じる内容のものを行いました。

声が身体から生まれてくるものである以上、やはり身体と向き合うのは必然だと思います。
声が音なら、身体は楽器といっても過言ではないのではないかなっと思います。
お腹に空気を入れる呼吸、肩甲骨の間あたりに空気をいれる呼吸、脇腹のあたりに空気を入れる呼吸など、どこに空気を入れている呼吸なのかというのも、声の幅を広げるのにはすごく重要だな感じました。

ワークの最後には、今日一番気持ちのいい「い・え・あ・お・う」探しをしました。

場所、体勢、声の出し方などを変えながら自分の気持ちのいい「い・え・あ・お・う」を探しました。
ぱんださんを含める受講生全員がそれぞれの「い・え・あ・お・う」を発していて、それだけで芝居が出来上がってくるのではないかと感じるほどに、たくさんのものを響かせる「い・え・あ・お・う」になりました。

今日はじめて参加してくださった方もいました!
暑い日が続きますが、みなさんぜひぜひスキルアップクラスに飛び込みにきてください!!!


西村

2013年7月9日火曜日

いいところは?


こんにちは。ブログ担当の平田です。

スキルアップクラス土曜日、今回の講師は木村雅子さん。今回は初めて受講に来られた方が多く、皆さん充実した2時間を過ごしていただけたのではと思います。ぜひ、1回からでも受講可能ですので、たくさんの方に来ていただきたいです。

今日前半は、コミュニケーション、主に相手からの発信を「受け取る」ということを中心にしたゲームをいくつか行いました。

例えば、全員で円になり、自分をさして「わたし」と言ったあと、誰かをさして「あなた」といいます。そしてさした相手のところへ歩いて行きます。言われた人はまた誰かに……と繰り返していく、簡単なものです。

大切なのは、相手から発信された「あなた」という言葉を丁寧に受け取るということです。そして発信した方も相手が受け取ったことを確認してから次の行動に移ります。動かないといけない、とか、次に誰を指名しようか?とか自分の中で考えてしまうのではなく、相手から飛ばされたものへの反応として動く、言葉を発する、ということが大事です。とても基本的なことであり、日常生活では普通に行うことだと思うのですが、改めて丁寧にやることで、全員がお互いに受け取ろうとしている空気を感じました。慣れてきたあとは、「わたし、あなた」などの言葉はなしで、アイコンタクトだけで同じことをします。それも、受け取ることに必死になるのではなく、リラックスしてお互いを受け入れる態勢が出来てきたように思いました。

後半におこなったのは、2人組になって、1人がテーマに沿って話をし、もう1人はただそれを聞く、というシンプルなもの。最初のテーマは「初恋の話」!

話し終わったら、聞いていた人が話をした人に「どこがよかったか」を伝えます。内容のことであったり、話し方であったり、様々なことが挙がりましたが、重要なのはこれは話を聞いている人側のワークだということです。聞いている人はよかった点を見つけて伝えますが、これがとても大切なことです。普段の生活でも、自分や人の悪いところは何かと目に入りがちではないでしょうか。ですが、演劇をするとき、相手の役者さんその人とコミュニケーションをとることが大事です。その人のいいところを見つけ、そこを引き出すように演技する。それをお互いにし合うことができれば、そのお芝居はどんどん面白いものになっていきます。

最後に行ったイルカのワークでは特にそれがよくわかりました。イルカ役を1人決め、残りの見ている側で1つ、イルカ役の人にしてほしい動作を決めます。(カーテンを閉める、など)イルカ役の人はとにかく色んな動きをしてみます。見ている側は、決めた動きに近い動作をしたときに合図を送り、その動作まで誘導してあげる。というものです。

実際やってみて実感したことは、最初に決めた動作以外のことをしているときも、「楽しく見てあげることが大切」ということです。2人組で話をしたときのように、相手がさらによくなるように、引き出してあげること。自分も一緒によくなろうとすること。それがいい作品を作ることに繋がること。シンプルな内容の中でとてもたくさんのことが実感できたと思います。

今回は初めて参加された人が多く、コミュニケーションの仕方は、十人いれば十通りあるということが、当たり前のことかもしれないのですが改めて考えるととても面白く、さらに今回は年齢層が高めで、普段同年代以外の人と芝居やワークショップをする機会はなかなかないので、そこも新鮮でした。

人とのコミュニケーションは単純なことのようで、意外に意識しないと難しく、けれど上手くいけば演技にも日常生活にも還元することができると感じました。

2013年7月6日土曜日

居場所


私が演劇を始めた理由は、学生時代に知り合いの公演に出ないかと誘われたからだ。そこでは演劇未経験の私を受け入れてくれて、つかの間の充実感を味わせてくれた。ちなみに、それまではほとんど演劇などみたこともなかったが、それがきっかけで、こうして演劇にまつわる仕事をしている。つい先日、静岡舞台芸術センター(SPAC)を訪れた際、芸術総監督である宮城聰さんが公演後の座談会で、「自分が演劇を始めたのは、学校の演劇部に居場所があると感じたから」という話しをされていた。第一線のプロでも、最初はそういうものだと妙に納得した。
 私はそうした自分の体験から、演劇や舞台芸術の普及や振興のために、入り口としてそうした「居場所」が多く存在するべきだと考えている。そして、自分でも数々の「居場所作り」を積極的に手がけてきたし、今も行っている。
 
 さて、NPO劇研が行う人材育成事業「劇研アクターズラボ」の「スキルアップクラス」のことである。このクラスは劇研アクターズラボの原点といえるクラスで、2005年の発足から今も継続している主要なクラスだ。2013年5月からは、受講しやすさ向上のため、それまでの月謝制を改め、単回参加を可能にした。その背景には、このところの継続受講者の減少という問題がある。名前の通り「スキルを向上させる」のが目的のクラスであるから、当初から「継続性」を重視している。継続が無ければ、技術の習得は困難だからである。「続けてなんぼ」にもかかわらず、「続かない現実」に頭を悩ましている。講師や関係者と対策を検討しているが、そこで話題にのぼるのはその「居場所づくり」についてである。受講の動機として「気の合う仲間がいる」はうなずける。講座の内容もさることながら、仲間で励まし合ったり、気のおけない友人に会うのが楽しみ。というのは自分の体験からも良くわかる。継続対策としての居場所づくりはよくわかる話しであるが、まずは、そもそも私たちは何を目標にしているのか?ということから考えてみたい。

 人材育成事業を始めた理由は「舞台の価値や質の向上」のためである。
もはや役者の価値は「テレビにでているかどうか」で決まるようになってしまった。テレビに出ていなければ、世間は「(職業)役者」として認めず「売れない役者」と哀れむのが常だ。こうした意識や常識は変えなければならない。インターネットや映像、デジタル化の発展は通信や表現手法などを大きく変えたが、それと相反するように「人間化」を見直す気運が高まっていると感じる。「絆」とか「対話」とか「身体」とか「地域でのつながり」「飲みュニケーション」などなど、そうしたことを見直す動きがおきている。多少面倒くさいが、人間的で血の通ったものがやっぱり肌に合うと感じることや、多様な価値観を認め、少数派にも生きやすい社会を作ることが一つの流れとなっている中で、「演劇」など舞台芸術のありかたも再評価される可能性は十分にある。生の人間が目の前で演じる舞台には映像にはない魅力がある。演技技術の中には人間の行動に対する大切な要素がつまっている。すぐれた戯曲には時代を超えた哲学や示唆があふれている。インターネットを使えば、誰でも自分の考えを瞬時に世界中へと発信できる時代に、全く相反する演劇の、この「遅さ」と「まどろっこしさ」「アナログさ」には現代に活かされるべき価値の本質が潜んでいる。

 やりたいからやっている。は演劇の動機として正しい。
 なにしろ、そのほうが楽しい。しかし、社会との関わり(お客さんへの責任)よりも、自分の楽しみが優先されていては、社会に必要とされる質を生み出す可能性は低いと言わざるを得ない。それはいわばカラオケに近く、そこに人を楽しませる責任を課すのも酷な話しだ。問題は、そうした人の動機をどのように高めてゆくか、そして価値の創造にまでいきつくかである。言い換えればカラオケ意識から、観客に対する責任意識への変換を行うことが「スキルアップクラス」の目的で、それは「自分が楽しい」という自己完結の動機から、「表現の対象に対していかに責任を果たせたか」に満足の所在を移すことである。
 さらにラボがこだわるのは、舞台の面白さを向上させて、「舞台はおもしろいよ」となることである。また、それ以外の演劇(演技)の価値にも目を向け、多様な角度から演劇を評価し、教育や福祉、まちづくりなど他の分野に「演劇」の技法を応用することで、仕事を生んでゆくことである。それには、「演劇」を数多くそして深く見ていることや、その現状に対する批評精神も必要となる。

 私たちはまず、受講する方や将来受講したいと思っている人と上記のような目的を共有しなければならない。つづいてどこに出ても恥ずかしくない技術を習得してもらわなければならない。そしてそれが社会に活かせるようしつらえなければならない。そのためにも、とにかく参加者が来てくれて、続けてくれなければ目的は達せられない。継続してもらうために楽しい居場所をしつらえることと、本気で向上を望む人に中身の濃いワークを行うことをどう両立させるか、そうしたノウハウもきっと続ける中から導きだすしかないのではないだろうか。

 演技に希望を抱いて集まる自立した個による、意欲的な場所こそ「スキルアップクラス」が目指す場でありたい。そして、それを目指して、私たちも授業の質向上と、役者の仕事の拡大への努力を積み重ねなければならない。
(企画:杉山準)

リンク

おつかれさまです!

7月3日のスキルアップクラスは、とても充実していました!

講師は木村雅子さん。

ゲームを織り交ぜながらのアップやハットゲーム(演技をしつつ相手の帽子を演技を壊さずに取るというゲーム)をして、最後の3,40分くらいで実際にエチュードをやりました!


実際にやるのはとても難しかったです。
でも、実際にやってみることでいろんなことに気づきました!

先週のブログでも書いたのですが、いままでのワークで講師の方が言っていたことがここに生きてくるのか!っというリンクをたくさんたくさん感じました!


あの講師の方のワークをしっかりと自分のものにできれば、きっとこのシーンであんな体の使い方(たとえば、足を組んだり、相手との距離を空けたりといったこと)はしなかったはずだなぁ

とか

あのワークを思い出しながらやっていれば、もっと明確に呼吸を相手に見せることができたはず!

とか

あ、あのワークのときにやってたことってここに繋がってくるんだ!

とかとか。


たくさんのリンクに気づけました!


4人の講師の方々が、それぞれのワークでさまざまなことを教えてくれているスキルアップクラス。

講師の方々全員が「演技力を向上させる!」という大きな目標のもとでワークを作り上げてくれているのだなっと感じました。


まだまだ、駆け出しの自分ですが、しっかりと力をつけていきたいです。


ワークの報告というより、僕個人の感想になってしまい、すいません。


頑張ります!