高槻でのスキルアップクラスの4回目。本日から講師が大熊ねこさん(通称:パンダさん)になります。
パンダさんは「からだから考える」をテーマに、からだへの意識を高めそれを頼りに演技を行なう訓練をします。発声練習に代表されるように、演劇の練習と言えばことばをしゃべる為の練習をイメージされる方も多いと思いますが、演技では言葉は一部分でしかありません。大切なのは、登場人物がおかれた状態に、演技者のからだも対応しているかです。俳優は、舞台表現特有の、型(かた)や特殊なからだの使い方をしながらも、そのシーンで演じる役がおかれた状況(シチュエーション)にリアリティーを持たせなければなりません。そのリアリティーを形作る基こそ「からだ」の変化であり、それができるために必要な技術は、自分のからだへの高い意識なのです。
さて、今日の練習の中では呼吸や背骨、視野といった演技するうえで意識しておくべきポイントへ、注意を向けるワークが行なわれました。写真は背骨を意識しながらまっすぐ立つワークの風景です。それだけで、姿勢や体感が変化します。受講者からは「一度退化して、進化したみたい」といった感想が聞かれました。
「言葉だけよりもその人の奥の方が垣間見える気がした」とパンダさんがいう通り、からだは言葉以上に色々なことを表現してしまっているものです。こうしたワークを通じてその感覚や自分のからだへの注意を磨いてもらえればと思います。
ところで、ワークを受けてみての感想で「(ワークショップは)セラピー的な要素がある。ワークショップを受けた日はよく寝られる」と述べた人がいました。私たちは、こうした目的でも、遠慮なくワークショップを受けて頂きたいと思っています。それはそれで、すばらしい演劇の効用だと思うのです。
2012年12月5日水曜日
2012年11月14日水曜日
ポジティブ
高槻でのスキルアップクラスが始まりました。
本日から3回講師を務めて頂くのは、木村雅子さんです。木村さんはこのブログでも紹介している通り、即興演劇が専門の方で、シアターゲームを呼ばれる「遊び」を使ってのレッスンを主に行ないます。前にも書きましたが、シアターゲームは遊びの要素を使って、演技者が陥りがちな「自意識による呪縛」や「緊張」「何か(面白いことを)しなければならないプレッシャー」などから自分を解き放ち、本来の自分の魅力や、能力、人に何かを伝える楽さなどを獲得するのに役立ちます。
今日の講座では、前半は互いの緊張を取り、視野を広げ、他人からの情報を受け止めたり、または出したりしながら自分を外に出してゆくことをテーマに、後半は相手を思いやったり、互いの信頼関係を強めるテーマでワークがおこなわれました。
こうしたレッスンを見ていて感じるのは、受け身な人と、色々自分からやろうとする人がいるなということです。日本という国の文化なのか、何となく日本人は前者が多いような気がします。(あくまで私の主観ですが。)自己主張しない国民性だからかもしれません。でも、こうしたレッスンや演劇では、後者がとても望ましいと思います。同じゲームがより楽しくなります。木村さんがおっしゃっていたように、どんどん楽しんでもらえたらいいと思います。
ちなみに、スキルアップクラスはまだ定員に空きがありますので、今からでも参加したい方は奮ってご参加下さい!
本日から3回講師を務めて頂くのは、木村雅子さんです。木村さんはこのブログでも紹介している通り、即興演劇が専門の方で、シアターゲームを呼ばれる「遊び」を使ってのレッスンを主に行ないます。前にも書きましたが、シアターゲームは遊びの要素を使って、演技者が陥りがちな「自意識による呪縛」や「緊張」「何か(面白いことを)しなければならないプレッシャー」などから自分を解き放ち、本来の自分の魅力や、能力、人に何かを伝える楽さなどを獲得するのに役立ちます。
今日の講座では、前半は互いの緊張を取り、視野を広げ、他人からの情報を受け止めたり、または出したりしながら自分を外に出してゆくことをテーマに、後半は相手を思いやったり、互いの信頼関係を強めるテーマでワークがおこなわれました。
こうしたレッスンを見ていて感じるのは、受け身な人と、色々自分からやろうとする人がいるなということです。日本という国の文化なのか、何となく日本人は前者が多いような気がします。(あくまで私の主観ですが。)自己主張しない国民性だからかもしれません。でも、こうしたレッスンや演劇では、後者がとても望ましいと思います。同じゲームがより楽しくなります。木村さんがおっしゃっていたように、どんどん楽しんでもらえたらいいと思います。
ちなみに、スキルアップクラスはまだ定員に空きがありますので、今からでも参加したい方は奮ってご参加下さい!
2012年11月10日土曜日
高槻でのスキルアップクラスいよいよ開講
高槻でのスキルアップクラスが間もなく(11月13日)開講します!!!!!!!!!
高槻では初めてとなる3ヶ月の講座となります。数回の講座に比べて内容も深く、成果も実感できます!
演技の本質的な要素「伝える」「受け止める」「創造する」といった基礎力を高める講座です。また、こうした演技のエクササイズを通じて、コミュニケーションの能力をアップさせたい方や、人に伝えたり、プレゼンすることが上手くなりたい方、日常のストレスを発散させたい方にもお勧めです。
演劇経験者対象ですが、熱意のある初心者も大歓迎です!!
そして、まだ応募可能です。
直前まで都合がわからない方は、直接会場に来て頂いても大丈夫!(できれば予約していただけるとうれしいですが・・・)
やる気ある皆さんをお待ちしています。
演技を学んで、自分や生活を輝かせましょう!!
ご予約はこちらの予約フォームから。
講座直前まで、受け入れられる限り受け付けます!!
*うまくフォームにつながらない場合は、お電話を。
075−791−1966(アトリエ劇研)
高槻では初めてとなる3ヶ月の講座となります。数回の講座に比べて内容も深く、成果も実感できます!
演技の本質的な要素「伝える」「受け止める」「創造する」といった基礎力を高める講座です。また、こうした演技のエクササイズを通じて、コミュニケーションの能力をアップさせたい方や、人に伝えたり、プレゼンすることが上手くなりたい方、日常のストレスを発散させたい方にもお勧めです。
演劇経験者対象ですが、熱意のある初心者も大歓迎です!!
そして、まだ応募可能です。
直前まで都合がわからない方は、直接会場に来て頂いても大丈夫!(できれば予約していただけるとうれしいですが・・・)
やる気ある皆さんをお待ちしています。
演技を学んで、自分や生活を輝かせましょう!!
ご予約はこちらの予約フォームから。
講座直前まで、受け入れられる限り受け付けます!!
*うまくフォームにつながらない場合は、お電話を。
075−791−1966(アトリエ劇研)
2012年11月2日金曜日
京都でのスキルアップクラス
8月から再開した京都でのスキルアップクラスが10月31日で3ヶ月12回を終了しました。
12回単位で行なっているこのクラスですが、内容とともにこの長さや分量についても見直しながら今後も継続する予定です。年末頃から次期の募集を開始する予定ですので、ホームページなどを注目ください。また、この11月からは今度は高槻で3ヶ月12回のクラスを開講します。京都で開催した講座と講師の顔ぶれは同じですが、もう一度内容を検証しワークショップの密度や質の向上に努めながら実施します。今回は担当する講師の順番を入れ替え、まずは講座が楽しく(楽しみに)なるような無理の無い導入と、発展的な授業展開に務めながら、受講する方の経験やスキルに差があっても、それぞれが何かを得て帰れるような「発見のある講座」を目指して改善を加える予定です。京都でのクラスを受講していた方でももちろん参加可能です。
おたのしみに!
ちなみに、高槻クラスはまだ定員に空きがあるので、ご希望の方はこちらの申込フォームからご予約を!11月13日(火)開講です。
12回単位で行なっているこのクラスですが、内容とともにこの長さや分量についても見直しながら今後も継続する予定です。年末頃から次期の募集を開始する予定ですので、ホームページなどを注目ください。また、この11月からは今度は高槻で3ヶ月12回のクラスを開講します。京都で開催した講座と講師の顔ぶれは同じですが、もう一度内容を検証しワークショップの密度や質の向上に努めながら実施します。今回は担当する講師の順番を入れ替え、まずは講座が楽しく(楽しみに)なるような無理の無い導入と、発展的な授業展開に務めながら、受講する方の経験やスキルに差があっても、それぞれが何かを得て帰れるような「発見のある講座」を目指して改善を加える予定です。京都でのクラスを受講していた方でももちろん参加可能です。
おたのしみに!
ちなみに、高槻クラスはまだ定員に空きがあるので、ご希望の方はこちらの申込フォームからご予約を!11月13日(火)開講です。
2012年10月21日日曜日
失敗を愛する
京都で開催している、今期のスキルアップクラスも残すところ3回となりました。メイン講師として最後に登場頂くのは、木村雅子さんで「インプロ」と呼ばれる即興の演劇が専門の方です。決められた台詞が無い即興のお芝居を演じる為には、相手役との信頼感の構築や、心やからだをリラックスさせておくこと、高い集中力や、瞬時の創造性などが必要とされます。それらは、台詞のある演劇にとっても不可欠な要素です。
ワークショップは「シアターゲーム」と呼ばれる「遊び(ゲーム)」を使った、演劇訓練法を基にして組み立てられます。ゲームを通じて、伝え合うことや創造的な表現を「頭」ではなく、「身体的経験」から学んでいきます。
舞台上では、私生活で未経験のことや、普段と違う(慣れていない)振る舞いや言葉遣い、人との関わりを行なう必要があります。また、場合によっては犯罪者役など、普段では受け入れないことを受け入れる必要にも迫られます。これは、頭ではわかっていてもなかなか難しいことです。こころとからだに染み付いた「わたくしを形作る日常の癖(持って生まれた自分の性格といった部分から、人への接し方など社会的な部分も含めた)」から脱して、(舞台の上とはいえ)自由な私(演技できる状態の私)になることは、かなり難しいことで、それをコントロールできるようにするために俳優が訓練を積むことは非常に大切なことです。この「ゲームを使って、自分の可能性を広げる」方法はその練習法として、大変合理的な方法です。なにしろ、楽しくのびのびとできるところがいいのです。
さて、今日もほとんどの時間を使って、からだと頭をどんどん動かすゲームを行ないました。もちろん、全てのゲーム、全てのエクササイズにはそれを行なう目的と理由があります。講師は非常に巧みに参加者の状態を見てエクササイズの組み立てています。
ポイントはいくつかありますが、まずは心とからだをリラックスさせ、心にブレーキをかけず「自由な発想」が自然と出てくる状況を作ること、相手から発せいられた何かを的確に受け取ることや的確に渡すことへの意識や集中を高め、その感覚を磨くこと。そして表現に対して「能動的」になって、表現そのものを自信を持って楽しめるようにすることが今日の主なポイントだったように思います。
表現者はじつは臆病になりがちです。「かつて目にしたなにか(かつて上手くいったなにか)」にすがりたくなるものです。しかし表現者に求められるのはその場で生まれた「新鮮な表現」です。それを生む為に必要な、瞬時の創造性は(過去の何かから離れて)そうしたことをおもしろがる「遊び心」無くしては叶わないと思います。訓練といえばストイックなことを想像しがちですが、ストイックな練習ではそうした遊び心が削られる恐れがあります。
木村さんは、ゲームの途中でいくつかのキーワードを参加者に投げかけてくれます。
例えば「失敗を愛して」とか例えば「わくわくすることが大切」とか「相手に届けるにはエネルギーがいる」などなど、それらはゲーム途中で、実際に行なわれた行為に対してのコメントなので説得力があり、よくわかります。そして、そんなアドバイスに従うことで、ゲームはより楽しいものになります。それは同時に、役者さんの可能性をどんどん広げている言葉だと感じました。なにしろ、役者さんから出てくるものが良くなっていくのですから。
ちなみに、同じ内容のスキルアップクラスを11月〜年明け2月、大阪府高槻市でも開講します。詳細はこちらです。まだ応募可能ですので興味ある方はぜひ受講してみて下さい。
ワークショップは「シアターゲーム」と呼ばれる「遊び(ゲーム)」を使った、演劇訓練法を基にして組み立てられます。ゲームを通じて、伝え合うことや創造的な表現を「頭」ではなく、「身体的経験」から学んでいきます。
舞台上では、私生活で未経験のことや、普段と違う(慣れていない)振る舞いや言葉遣い、人との関わりを行なう必要があります。また、場合によっては犯罪者役など、普段では受け入れないことを受け入れる必要にも迫られます。これは、頭ではわかっていてもなかなか難しいことです。こころとからだに染み付いた「わたくしを形作る日常の癖(持って生まれた自分の性格といった部分から、人への接し方など社会的な部分も含めた)」から脱して、(舞台の上とはいえ)自由な私(演技できる状態の私)になることは、かなり難しいことで、それをコントロールできるようにするために俳優が訓練を積むことは非常に大切なことです。この「ゲームを使って、自分の可能性を広げる」方法はその練習法として、大変合理的な方法です。なにしろ、楽しくのびのびとできるところがいいのです。
さて、今日もほとんどの時間を使って、からだと頭をどんどん動かすゲームを行ないました。もちろん、全てのゲーム、全てのエクササイズにはそれを行なう目的と理由があります。講師は非常に巧みに参加者の状態を見てエクササイズの組み立てています。
ポイントはいくつかありますが、まずは心とからだをリラックスさせ、心にブレーキをかけず「自由な発想」が自然と出てくる状況を作ること、相手から発せいられた何かを的確に受け取ることや的確に渡すことへの意識や集中を高め、その感覚を磨くこと。そして表現に対して「能動的」になって、表現そのものを自信を持って楽しめるようにすることが今日の主なポイントだったように思います。
表現者はじつは臆病になりがちです。「かつて目にしたなにか(かつて上手くいったなにか)」にすがりたくなるものです。しかし表現者に求められるのはその場で生まれた「新鮮な表現」です。それを生む為に必要な、瞬時の創造性は(過去の何かから離れて)そうしたことをおもしろがる「遊び心」無くしては叶わないと思います。訓練といえばストイックなことを想像しがちですが、ストイックな練習ではそうした遊び心が削られる恐れがあります。
木村さんは、ゲームの途中でいくつかのキーワードを参加者に投げかけてくれます。
例えば「失敗を愛して」とか例えば「わくわくすることが大切」とか「相手に届けるにはエネルギーがいる」などなど、それらはゲーム途中で、実際に行なわれた行為に対してのコメントなので説得力があり、よくわかります。そして、そんなアドバイスに従うことで、ゲームはより楽しいものになります。それは同時に、役者さんの可能性をどんどん広げている言葉だと感じました。なにしろ、役者さんから出てくるものが良くなっていくのですから。
ちなみに、同じ内容のスキルアップクラスを11月〜年明け2月、大阪府高槻市でも開講します。詳細はこちらです。まだ応募可能ですので興味ある方はぜひ受講してみて下さい。
2012年10月17日水曜日
高槻でもスキルアップクラス始まります!!
京都で開催中のスキルアップクラスですが、11月から高槻でも開催します。(その間京都はお休みになります)京都で8月〜10月に開催していた内容をさらにブラッシュアップし、高槻で実施します。
京都まで通うのが大変だった大阪方面の皆様、この機会にぜひ受講してください。
応募方法は簡単です。
labo★gekken.net (★を@に換えてお送り下さい)に件名を「高槻スキルアップクラス受講希望」していただき、お名前、お電話番号をおかきの上ご応募ください。*18才未満の方は保護者の承諾が必要となります。
こちらのフォームからもお申し込み可能です。
詳細はこちらのページをご覧下さい。ページの下の方にスキルアップクラス詳細が出ています。
11月13日開講で2月まで12回の講座です。
ご応募お待ちしています。
京都まで通うのが大変だった大阪方面の皆様、この機会にぜひ受講してください。
応募方法は簡単です。
labo★gekken.net (★を@に換えてお送り下さい)に件名を「高槻スキルアップクラス受講希望」していただき、お名前、お電話番号をおかきの上ご応募ください。*18才未満の方は保護者の承諾が必要となります。
こちらのフォームからもお申し込み可能です。
詳細はこちらのページをご覧下さい。ページの下の方にスキルアップクラス詳細が出ています。
11月13日開講で2月まで12回の講座です。
ご応募お待ちしています。
2012年9月20日木曜日
実感に基づいた演技論
「演技力向上を目的」と謳っているこのスキルアップクラスの講師は、開講当初から全員俳優が務めています。当たり前と言えば当たり前ですが、役者のための訓練ですので、役者としての経験や訓練が指導に活かされるわけです。
特に俳優として舞台に立って感じている実感や、練習の中でつかんだ俳優としての感覚は説得力あることばとして、受講者に伝わります。
さて、本日からはじまった田中遊さんの講座は、まさに田中さんが日頃から感じ、実践していることや自分の体験の中から、あらゆる演劇に役立つと田中さんが実感していることで構成されていました。
めずらしく座学からスタートした今日の講座でしたが、「役者としての意識のもちかた」についての話しから、演技と呼吸との関係のことまで、まずは田中さんが重要と感じている内容を頭でわかってもらうことから始まったのでした。後半は実際にからだを動かしながら、呼吸を使ってのエクササイズを行いました。
最後に次週までの宿題として、1)自分について箇条書きにしてくる(自分という者はどういう人か)、2)1日分の日記を書いて持て来る(他人に読まれる可能性あり)
が出されました。役者である以上「人間に興味を持つ意識」が大切という、冒頭での話しに関係がありそうです。次回はこれを使ってワークショップを行うとのことです。
2012年9月17日月曜日
動きからのアプローチ
よく「役作り」といった言葉を聞きます。与えられた役を演じる時に、台本に描かれた役の人物はどういう人なのかを考えて、その人物像になりきるための準備、とでも言い換えられるのでしょうか。
たとえば台本から読み解ける役の性格は「せっかちで、神経質、感情の起伏が激しい」としたとき、果たしてそれをどうそれを演じるのでしょうか?
特に役の性格が自分と離れている場合、役に自分を近づけなければなりません。身近にいるそうした性格の方をまねてみる。ということをするかもしれませんし、自分の中のそうした部分を極端に前に出して演じてみるかもしれません。
今日のスキルアップクラスの練習は、例えばそんな時にも役立つと思ってみていました。行なった練習は、動き(仕草)のしかたや質(早さ、強さ、ゆったりさ、瞬発性、持続性)に変化を付けることで同じ行為であってもずいぶん印象を変えるということを自覚する練習です。役作りに応用するなら、例えば「せっかちで、神経質、感情の起伏が激しい」人はどのような傾向の動きをするだろうか、に注目し台詞の言い回しや内面的なことはまずは考えず、からだと動きからアプローチしてみるという方法です。
この方法はなかなか実用的じゃないかと思います。今日の練習でも受講生の振り返りの中で「自分のクセに気づいた」といった話しがでましたが、人物像を構築するのはとても多様な要素を含んでいます。それを漠然とした印象だけで処理しようとしてもなかなからちがあきません。頭の中でイメージしていることを演じているつもりでも、客観的には全く変わっていない(演者その人に見えてしまう)ということはよくあります。経験が浅い方は、台詞に頼る傾向があるので「台詞の言い方だけ変わって、見え方は全く変わらない」という深みにはまりがちですが、この方法はそうした深みから脱出しやすくしてくれます。自分のクセは、知らず知らずに出ているので、なかなか自分では気づかないものです。動きに注目してみることで、どう変化させればいいかが、具体的で明確になるのです。今回のように動きやその質に明らかな変化を加えることで、簡単に変化することができますし、自分のクセや自分の動きの傾向にも気づくことができます。動きの変化は演じ手の内面にも変化を与えます。どうしてもその場面の感情になれないときでも、動きを変えることでそんな気持ちが喚起されるのです。
もちろんこの方法が万能ではありませんが、内省的になりやすい性格の役者さんにはこうしたアプローチはお勧めではないでしょうか。
たとえば台本から読み解ける役の性格は「せっかちで、神経質、感情の起伏が激しい」としたとき、果たしてそれをどうそれを演じるのでしょうか?
特に役の性格が自分と離れている場合、役に自分を近づけなければなりません。身近にいるそうした性格の方をまねてみる。ということをするかもしれませんし、自分の中のそうした部分を極端に前に出して演じてみるかもしれません。
今日のスキルアップクラスの練習は、例えばそんな時にも役立つと思ってみていました。行なった練習は、動き(仕草)のしかたや質(早さ、強さ、ゆったりさ、瞬発性、持続性)に変化を付けることで同じ行為であってもずいぶん印象を変えるということを自覚する練習です。役作りに応用するなら、例えば「せっかちで、神経質、感情の起伏が激しい」人はどのような傾向の動きをするだろうか、に注目し台詞の言い回しや内面的なことはまずは考えず、からだと動きからアプローチしてみるという方法です。
この方法はなかなか実用的じゃないかと思います。今日の練習でも受講生の振り返りの中で「自分のクセに気づいた」といった話しがでましたが、人物像を構築するのはとても多様な要素を含んでいます。それを漠然とした印象だけで処理しようとしてもなかなからちがあきません。頭の中でイメージしていることを演じているつもりでも、客観的には全く変わっていない(演者その人に見えてしまう)ということはよくあります。経験が浅い方は、台詞に頼る傾向があるので「台詞の言い方だけ変わって、見え方は全く変わらない」という深みにはまりがちですが、この方法はそうした深みから脱出しやすくしてくれます。自分のクセは、知らず知らずに出ているので、なかなか自分では気づかないものです。動きに注目してみることで、どう変化させればいいかが、具体的で明確になるのです。今回のように動きやその質に明らかな変化を加えることで、簡単に変化することができますし、自分のクセや自分の動きの傾向にも気づくことができます。動きの変化は演じ手の内面にも変化を与えます。どうしてもその場面の感情になれないときでも、動きを変えることでそんな気持ちが喚起されるのです。
もちろんこの方法が万能ではありませんが、内省的になりやすい性格の役者さんにはこうしたアプローチはお勧めではないでしょうか。
2012年8月30日木曜日
見る力
演じる人(グループ)と見る人(グループ)に別れて、演じる人(グループ)が行なったことに対して、見るグループが意見を述べるという練習をたびたび見かけます。
この練習で大切なのは、実は見るグループの「見る力」だと思っています。「見る力」がなければ演技は上達しないのではないかと思えるぐらいです。しかし、こうした場での「見るグループ」からの意見は、とても優しいのが通例です。自分の演技に対しても意見をいわれるだけあって、できるだけいい所を見つけて言ってあげる(そのほうが互いに気持ちいい)となるからでしょうか。
しかし、実際の舞台ではお客さんは割と厳しいものです。おそらく多くの観客は意識して厳しいのではなく、退屈な演技には「すなおに」退屈な態度になっている、ということだと思います。ですので練習中に「見る」立場になった時には、実はこの「知り合いでもなんでもないお客さん」の視点で、あまり歩み寄ってあげず自然に見ることが大事なのだと思います。
とはいえ「概ね退屈で、いい瞬間や、参考になる瞬間はなかった」などと振り返りの場で言ったら、しらけたり、憎まれたり、傷つけたりする可能性があるので、そこは気を使うところだとは思いますが、自分の本当の気持ちに嘘をついて、「本心」よりワークショップの雰囲気作りに引っ張られてしまうのは問題です。できるだけ高い水準で批評的に演技を見る目を養い、自分の素直な心にひっかかってこない演技には心の中ではっきりと「退屈」と判断し、なぜ退屈なのかを考えることが大切なのだと思うのです。演技者が自分を肯定してもらいために、練習の場ですら(身内の目線にハードルを下げて)できるだけ肯定的に見る癖をつけていると、自分が何を目指しているのかがわからなくなってきます。厳しい目で人を見つめるとき、その視線が自分に返ってきてつらくなるかもしれませんが、その気持ちがお客さんの気持ちだとすれば、上手くなるためには、それを冷静に受け入れることが必要ではないでしょうか。
また、大切にすべきは「自分の感性」であって、他人や先生が「いい」というものをすぐに受け入れないことだとも思います。自分が「いい」と思うものを、他人が「いい」と言わなかったとき(その逆でも)、それをなぜかと考えることで、何かが前に進む気がします。そして、そうしたことこそ、ワークショップで行なわれるべきことだと思うのです。
この練習で大切なのは、実は見るグループの「見る力」だと思っています。「見る力」がなければ演技は上達しないのではないかと思えるぐらいです。しかし、こうした場での「見るグループ」からの意見は、とても優しいのが通例です。自分の演技に対しても意見をいわれるだけあって、できるだけいい所を見つけて言ってあげる(そのほうが互いに気持ちいい)となるからでしょうか。
しかし、実際の舞台ではお客さんは割と厳しいものです。おそらく多くの観客は意識して厳しいのではなく、退屈な演技には「すなおに」退屈な態度になっている、ということだと思います。ですので練習中に「見る」立場になった時には、実はこの「知り合いでもなんでもないお客さん」の視点で、あまり歩み寄ってあげず自然に見ることが大事なのだと思います。
とはいえ「概ね退屈で、いい瞬間や、参考になる瞬間はなかった」などと振り返りの場で言ったら、しらけたり、憎まれたり、傷つけたりする可能性があるので、そこは気を使うところだとは思いますが、自分の本当の気持ちに嘘をついて、「本心」よりワークショップの雰囲気作りに引っ張られてしまうのは問題です。できるだけ高い水準で批評的に演技を見る目を養い、自分の素直な心にひっかかってこない演技には心の中ではっきりと「退屈」と判断し、なぜ退屈なのかを考えることが大切なのだと思うのです。演技者が自分を肯定してもらいために、練習の場ですら(身内の目線にハードルを下げて)できるだけ肯定的に見る癖をつけていると、自分が何を目指しているのかがわからなくなってきます。厳しい目で人を見つめるとき、その視線が自分に返ってきてつらくなるかもしれませんが、その気持ちがお客さんの気持ちだとすれば、上手くなるためには、それを冷静に受け入れることが必要ではないでしょうか。
また、大切にすべきは「自分の感性」であって、他人や先生が「いい」というものをすぐに受け入れないことだとも思います。自分が「いい」と思うものを、他人が「いい」と言わなかったとき(その逆でも)、それをなぜかと考えることで、何かが前に進む気がします。そして、そうしたことこそ、ワークショップで行なわれるべきことだと思うのです。
2012年8月16日木曜日
ワークショップをもっと楽しむために。
演技トレーニングを目的としたワークショップで、よく「自覚の促し」というような訓練を目にします。意識していなかったことや自分ができないこと、もしくは自分のクセや特徴などについて、自覚したり、他人からどのように見えているかを知る訓練です。実は、この練習は必要なことではあるけれど、これをしたからといって演技がうまくなるとはいえません。自覚できても、それがすぐに「できる」に結びつくとは限らないからです。受講する側からすれば、うまくなるためにワークショップを受けに来たのに、すぐに結果がでないのではがっかりです。もちろん指導者にはそれを行なう理由はあるのですが、受講者が求めるものと違っているとしたら、互いに不幸です。
さて、今回のワークショップでも講座の冒頭に参加者に受講理由を聞いたのですが、多くの方が課題を持って受講しに来ていました。この講座のように演技技術向上を目的とするワーショップの講師(インストラクター)は、医者のようにそれぞれの課題に対し、的確な処方を行い、課題の改善を行うべきですし、本来その能力を備えてこそプロの指導者といえます。しかし、私達が完全にその技術を備えているかというと、残念ながらまだ発展段階です。表現者である俳優と、コーチであるインストラクターは職能が違います。いい表現者がいいコーチであるかは別問題なので、私達は「インストラクター」としてどうあるべきかを今検証している最中です。
それはさておき、講師の側に立てば、毎回のワークショップを行なうにあたって、もちろんのことですが予め内容を考えます。当然ですが、その際には「自分が教えたいこと」「教えられること」を基にプランは作成されます。教えられることが幅広く、受講生の問題に対していくつもの方法を提案できる場合はいいのですが、教えられることが限られる場合や、「教えたいこと」にこだわりがある場合には、受講者が得たいことと「教えられる」内容がくい違うことはたびたびおこります。
いいワークショップの大前提は、講師が「教えたい」ことを上から「指導」し、受講者が疑いもなくそれを「ありがたがって」受けるということではなく、受講する人も、講師も互いに提案し、創造的であることだと私は考えています。初心者であっても役者をやろうとする人は、自分の課題や、自分がイメージするいい演技を突き詰めて考えるのは、当然のことです。たとえば「自覚する作業」は所属する劇団の稽古場や、日常生活でも十分可能です。演技訓練について書かれた本の一冊でも読んで、ちょっと向上心を高めることで、ずいぶん意識は磨かれると思います。しかし、自分一人ではできないことも多く存在します。そこでこうしたワークショップが大事になるのです。
講師(インストラクター)も、考えて来たプランを忠実にこなすだけではなく、受講者の要望や状態に柔軟に応え、課題に対して的確な処方箋(気づき)を提供する努力を行なってこそ、受講する側の満足を高めるはずです。ちなみに、講師には自分の「演技観」を「指導したい」というタイプと、自分の演技観はさておき、指導者というよりファシリテーターとして中立な立場でワークショップそのものの質を高めることで、参加者に気づきを与えたいというタイプがいます。どちらも大切だと思いますが、「答え」を期待している受講者に取っては後者は不満かもしれません。自分の感性を大切にしたい人には、ある価値観を押し付けられるようで、前者のタイプは合わないかもしれません。そもそも「いい演技の尺度」は、見方によって違うのですから、答えは与えられるのではなく、役者自らで探し獲得してゆくものではないでしょうか。指導方法に対して逃げを打っているのでは決して無いのですが、「役者」として自分の価値を上げる努力をするのはやはり役者さん自身だと思うのです。受講者が受け身の姿勢から脱し、積極的に意見を交わし、与えられたエクササイズをできるだけ創造的に行なうことで、ワークショップの質はぐっと上がります。そしてそれこそが、うまくなる近道だと思うのです。そうした姿勢でワークショップに取り組めば、「どの先生が正しいの?」みたいな混乱も避けられると思いますし、もっともっと楽しくなるに違いありません。そして、受講する人にとっては本当に役に立った、もしくは課題がより明確になったという実感を得られることでしょう。
スキルアップクラスはこうした状態をまずは目指していきたいと考えています。
さて、今回のワークショップでも講座の冒頭に参加者に受講理由を聞いたのですが、多くの方が課題を持って受講しに来ていました。この講座のように演技技術向上を目的とするワーショップの講師(インストラクター)は、医者のようにそれぞれの課題に対し、的確な処方を行い、課題の改善を行うべきですし、本来その能力を備えてこそプロの指導者といえます。しかし、私達が完全にその技術を備えているかというと、残念ながらまだ発展段階です。表現者である俳優と、コーチであるインストラクターは職能が違います。いい表現者がいいコーチであるかは別問題なので、私達は「インストラクター」としてどうあるべきかを今検証している最中です。
それはさておき、講師の側に立てば、毎回のワークショップを行なうにあたって、もちろんのことですが予め内容を考えます。当然ですが、その際には「自分が教えたいこと」「教えられること」を基にプランは作成されます。教えられることが幅広く、受講生の問題に対していくつもの方法を提案できる場合はいいのですが、教えられることが限られる場合や、「教えたいこと」にこだわりがある場合には、受講者が得たいことと「教えられる」内容がくい違うことはたびたびおこります。
いいワークショップの大前提は、講師が「教えたい」ことを上から「指導」し、受講者が疑いもなくそれを「ありがたがって」受けるということではなく、受講する人も、講師も互いに提案し、創造的であることだと私は考えています。初心者であっても役者をやろうとする人は、自分の課題や、自分がイメージするいい演技を突き詰めて考えるのは、当然のことです。たとえば「自覚する作業」は所属する劇団の稽古場や、日常生活でも十分可能です。演技訓練について書かれた本の一冊でも読んで、ちょっと向上心を高めることで、ずいぶん意識は磨かれると思います。しかし、自分一人ではできないことも多く存在します。そこでこうしたワークショップが大事になるのです。
講師(インストラクター)も、考えて来たプランを忠実にこなすだけではなく、受講者の要望や状態に柔軟に応え、課題に対して的確な処方箋(気づき)を提供する努力を行なってこそ、受講する側の満足を高めるはずです。ちなみに、講師には自分の「演技観」を「指導したい」というタイプと、自分の演技観はさておき、指導者というよりファシリテーターとして中立な立場でワークショップそのものの質を高めることで、参加者に気づきを与えたいというタイプがいます。どちらも大切だと思いますが、「答え」を期待している受講者に取っては後者は不満かもしれません。自分の感性を大切にしたい人には、ある価値観を押し付けられるようで、前者のタイプは合わないかもしれません。そもそも「いい演技の尺度」は、見方によって違うのですから、答えは与えられるのではなく、役者自らで探し獲得してゆくものではないでしょうか。指導方法に対して逃げを打っているのでは決して無いのですが、「役者」として自分の価値を上げる努力をするのはやはり役者さん自身だと思うのです。受講者が受け身の姿勢から脱し、積極的に意見を交わし、与えられたエクササイズをできるだけ創造的に行なうことで、ワークショップの質はぐっと上がります。そしてそれこそが、うまくなる近道だと思うのです。そうした姿勢でワークショップに取り組めば、「どの先生が正しいの?」みたいな混乱も避けられると思いますし、もっともっと楽しくなるに違いありません。そして、受講する人にとっては本当に役に立った、もしくは課題がより明確になったという実感を得られることでしょう。
スキルアップクラスはこうした状態をまずは目指していきたいと考えています。
2012年8月2日木曜日
スキルアップクラス再始動!!
2005年に始まった、劇研アクターズラボの原点、スキルアップクラスが約1年間の休止を経て今日から再始動しました。休止に至った主な理由は受講者の減少だったのですが、今日の再開に至るまでには私達の中で様々な葛藤がありました。
さて、このスキルアップクラスは京都界隈で活動する劇団の多くが、練習を我流に頼る状況のなかで(専門的な教育を受けた人数がわずかな中で)、私達の活動が問題提起となり、役者を志す皆さんの向上を促す刺激になることを目標に、2005年から休止に至る約6年間活動を行ってきました。しかし、年を追う毎に参加者数は減少し、長く続けられる者はほとんどいなくなりました。訓練が成果を上げるには相応の時間を要します。週2時間程度練習を行ったからといって、3ヶ月で格段に技術が向上するということことは、まずありません。ある程度時間をかけた訓練を行ってこそ、成果は現れるはずですが、その時間を耐えることなく多くの人が講座を去っていってしまいました。
私達はどうすれば彼らの動機を維持できたのか、どうすれば技術向上の成果を実感できるようにさせられたのか、そもそも私達の力では無理ではなかったのか?講座の仕組みや授業そのものの内容までを講座を休止して再検討することにしたのです。
そして、私達の力が及ばない点、未熟な点も確認しながら、やはりもう一度挑戦していこうと決めました。もっと多くの時間を訓練に割けるようにしたい。もっと安く受講できるようにしたい、どうすればプロになれるのか、どうなると「売れる」のか、その道筋をわかりやすく示したい。・・・・・講座そのものの内容だけでなく、なぜ講座を受ける必要があるのかまでを具現するような、理想的な講座への願いは尽きませんが、現実はとても厳しい。
今回の再スタートは現実を見つめた上で、かすかな望みにかけようという、こうみえても苦渋の決断の上に成り立っています。無駄な挑戦になるかもしれませんが、地道な訓練を丁寧に繰り返すことで、演技に対する意識を高める努力を、志を同じくする講師の先生方ともう一度行いたいと思います。
演技を学ぶことは、せいぜい小劇場で活躍できる程度のこと、と過去の実績は物語っています。それは、とても残念なことです。私達はその程度のことを目指しているのではありません。演技が、舞台で活躍できるだけでなく、教育や福祉などの他分野でも社会に役立つさまざまな可能性を秘めていること、教養を養い人間性を高めることにも役立つことなど、さまざまな「力」があることを実感できるようにしたいのです。
できることが限られていることは、良くわかっています。この条件下で最大の成果を上げるにはどうしたらいいのか。講師や企画側だけではなく、今回は受講生も一緒になってこの問題と取り組んでいきたいと考えています。今までは講師と受講生の関係は「教える側」と「教えられる側」であったように思います。もちろんそうした側面は無くなる訳ではありませんが、今期は「自分達が一生懸命行なっていることの未来を一緒に考える場」でありたいと思っています。問題を共有しながら、それぞれが「自分だけ」で何かを解決しようとするのではなく、それぞれが解決に向けて意識を合わせて努力することで、何かが前に進むと期待しています。
まずは、スタートが切れて良かった。そして、これからは同志が増えるよう、頑張っていきたいと思います。
さて、このスキルアップクラスは京都界隈で活動する劇団の多くが、練習を我流に頼る状況のなかで(専門的な教育を受けた人数がわずかな中で)、私達の活動が問題提起となり、役者を志す皆さんの向上を促す刺激になることを目標に、2005年から休止に至る約6年間活動を行ってきました。しかし、年を追う毎に参加者数は減少し、長く続けられる者はほとんどいなくなりました。訓練が成果を上げるには相応の時間を要します。週2時間程度練習を行ったからといって、3ヶ月で格段に技術が向上するということことは、まずありません。ある程度時間をかけた訓練を行ってこそ、成果は現れるはずですが、その時間を耐えることなく多くの人が講座を去っていってしまいました。
私達はどうすれば彼らの動機を維持できたのか、どうすれば技術向上の成果を実感できるようにさせられたのか、そもそも私達の力では無理ではなかったのか?講座の仕組みや授業そのものの内容までを講座を休止して再検討することにしたのです。
そして、私達の力が及ばない点、未熟な点も確認しながら、やはりもう一度挑戦していこうと決めました。もっと多くの時間を訓練に割けるようにしたい。もっと安く受講できるようにしたい、どうすればプロになれるのか、どうなると「売れる」のか、その道筋をわかりやすく示したい。・・・・・講座そのものの内容だけでなく、なぜ講座を受ける必要があるのかまでを具現するような、理想的な講座への願いは尽きませんが、現実はとても厳しい。
今回の再スタートは現実を見つめた上で、かすかな望みにかけようという、こうみえても苦渋の決断の上に成り立っています。無駄な挑戦になるかもしれませんが、地道な訓練を丁寧に繰り返すことで、演技に対する意識を高める努力を、志を同じくする講師の先生方ともう一度行いたいと思います。
演技を学ぶことは、せいぜい小劇場で活躍できる程度のこと、と過去の実績は物語っています。それは、とても残念なことです。私達はその程度のことを目指しているのではありません。演技が、舞台で活躍できるだけでなく、教育や福祉などの他分野でも社会に役立つさまざまな可能性を秘めていること、教養を養い人間性を高めることにも役立つことなど、さまざまな「力」があることを実感できるようにしたいのです。
できることが限られていることは、良くわかっています。この条件下で最大の成果を上げるにはどうしたらいいのか。講師や企画側だけではなく、今回は受講生も一緒になってこの問題と取り組んでいきたいと考えています。今までは講師と受講生の関係は「教える側」と「教えられる側」であったように思います。もちろんそうした側面は無くなる訳ではありませんが、今期は「自分達が一生懸命行なっていることの未来を一緒に考える場」でありたいと思っています。問題を共有しながら、それぞれが「自分だけ」で何かを解決しようとするのではなく、それぞれが解決に向けて意識を合わせて努力することで、何かが前に進むと期待しています。
まずは、スタートが切れて良かった。そして、これからは同志が増えるよう、頑張っていきたいと思います。
2012年6月13日水曜日
高槻スキルアップクラス最終日
高槻現代劇場を会場に行なわれた、全4回のスキルアップクラスの最終日でした。
本日の講師は平岡秀幸さんで、テーマは「関係性とは何かを知る」ということだったのではないでしょうか。舞台上で役者が相手役の行為(ことば)をどう受け止め、それがどう自分に影響するか(変化として現れるか)について、丁寧に見てゆく(感じてみる・意識する)ワークショップが行なわれました。
さて、講座の冒頭に参加者から前回まで3回のワークショップの感想を聞いたのですが、複数の方から「思っていたのと違ったので戸惑った」という声が聞かれました。演劇のワークショップなので、「台詞を使うかと思ったら使わない」であるとか、「いいのか悪いのかわからなくて戸惑った」といったなどなど。もっともな感想が聞かれました。
そして、今日のワークではやっと(4回目にして!)、台詞を使ったのですが、台詞そのものの練習というよりは、その台詞が実感を伴って伝わるため(伝わるようにするため)に、「関係」をつくる意識がいかに重要かが示されました。結局「(舞台上で本物のように見える)関係を作ることのできる身体の状態を知る」ことと「相手役からのアクション(働きかけ)にどう反応するか」という非常に重要で本質的なエクササイズが主な内容となりました。
台詞を期待した皆さんごめんなさい。
平岡さんが話されていたように、演技の訓練には「表現の訓練」と「表現のための訓練」があって、前回まで3回のワークショップは後者だと平岡さんは思っている、ということでしたが、やはり今回も内容を見る限り「表現のための訓練」だったのではないかと思います。本当の意味で「表現の訓練」にまで到達するには、「表現のための訓練」を十分に経たメンバーによる時間をかけた集団創作など、ある一定の技術レベルと表現に対する高い意識、そして時間が必要なのかもしれません。
かといって「表現のための訓練」は簡単なのか?というと、これまたそうではないというのが実感です。このスキルアップクラスが行なおうとしているのは、自由で創造性にあふれる柔軟な表現を生み出す為の、最低限必要な力を養おうということであり、表現できるようになる為の身体や、意識を鍛えることだといえます。言い換えれば結局「表現するための訓練」そのものかもしれないと改めて考えました。
本日の講師は平岡秀幸さんで、テーマは「関係性とは何かを知る」ということだったのではないでしょうか。舞台上で役者が相手役の行為(ことば)をどう受け止め、それがどう自分に影響するか(変化として現れるか)について、丁寧に見てゆく(感じてみる・意識する)ワークショップが行なわれました。
さて、講座の冒頭に参加者から前回まで3回のワークショップの感想を聞いたのですが、複数の方から「思っていたのと違ったので戸惑った」という声が聞かれました。演劇のワークショップなので、「台詞を使うかと思ったら使わない」であるとか、「いいのか悪いのかわからなくて戸惑った」といったなどなど。もっともな感想が聞かれました。
そして、今日のワークではやっと(4回目にして!)、台詞を使ったのですが、台詞そのものの練習というよりは、その台詞が実感を伴って伝わるため(伝わるようにするため)に、「関係」をつくる意識がいかに重要かが示されました。結局「(舞台上で本物のように見える)関係を作ることのできる身体の状態を知る」ことと「相手役からのアクション(働きかけ)にどう反応するか」という非常に重要で本質的なエクササイズが主な内容となりました。
台詞を期待した皆さんごめんなさい。
平岡さんが話されていたように、演技の訓練には「表現の訓練」と「表現のための訓練」があって、前回まで3回のワークショップは後者だと平岡さんは思っている、ということでしたが、やはり今回も内容を見る限り「表現のための訓練」だったのではないかと思います。本当の意味で「表現の訓練」にまで到達するには、「表現のための訓練」を十分に経たメンバーによる時間をかけた集団創作など、ある一定の技術レベルと表現に対する高い意識、そして時間が必要なのかもしれません。
かといって「表現のための訓練」は簡単なのか?というと、これまたそうではないというのが実感です。このスキルアップクラスが行なおうとしているのは、自由で創造性にあふれる柔軟な表現を生み出す為の、最低限必要な力を養おうということであり、表現できるようになる為の身体や、意識を鍛えることだといえます。言い換えれば結局「表現するための訓練」そのものかもしれないと改めて考えました。
2012年6月7日木曜日
できないことの自覚
高槻でのスキルアップクラスの3日目。
本日のファシリテーターは田中遊さんでした。まず受講生に「何をスキルアップしたいのか?」を話してもらうところから始まりました。
さて、そもそもスキルアップと講座のタイトルに謳っているように、この講座は「演技技術の向上」を目指しているのですが、「じゃあ具体的に、何を向上させるの?」ということは実は大変難しい問題です。2時間×4日の講座で「スキルアップ」が果たせるの?と問われれば、これもかなり難しいと答えざるをえません。演技の要素は多様でかつ一人一人にとって演技における課題もまちまちです。どんな演技がいい演技なのかその価値基準ですら曖昧です。もちろん経験や目指す目標によっても違ってきます。ラボではいろいろな演劇に役立つ「基本的な技術」に焦点を定め、そこを重点的に訓練することをコンセプトとしていますが、そもそも「何を基礎技術とするのか」についても、いまだ議論や検討を続けていますし、どの程度を目指すのかについても意見が別れる所です。(講師陣と勉強会を持って、だんだん明確にしていこうとしている途中です)それにしても、最低限必要といえる技術でも講座で田中さんがおっしゃっていたようにすぐには身に付きません。「(思い通りにならない)身体や意識を自在にするためには、訓練の継続が必要」というのが、やはりあたりまえのことです。
しかし、あえてこうした講座を行う理由の一つは、「じゃ、自分は何をスキルアップするの?」の「何」を見つけることが大事だからだと思うからです。自分の問題がはっきりすれば、日頃の練習や目的意識が向上すると考えられるからです。ひいては上達も早くなるという訳です。
今日の田中さんのワークショップはその「何」を見つけて帰ってもらうことが大きなテーマだったように思いました。シアターゲームやエクササイズを行なう中で、田中さんはそれが役者になぜ必要なのか、多くの「ヒント」を与えてくれます。「ピン」とくることも「?」なこともあったと思いますが、経験も関わり方も違う参加者ですから、全ての人に全て等しく響かないのは当然です。ワークの体験や田中さんの「ヒント」を通じてそれぞれが、自分にとっての「何」をつかんでいただければ、それがスキルアップへの大きな一歩だと思います。
本日のファシリテーターは田中遊さんでした。まず受講生に「何をスキルアップしたいのか?」を話してもらうところから始まりました。
さて、そもそもスキルアップと講座のタイトルに謳っているように、この講座は「演技技術の向上」を目指しているのですが、「じゃあ具体的に、何を向上させるの?」ということは実は大変難しい問題です。2時間×4日の講座で「スキルアップ」が果たせるの?と問われれば、これもかなり難しいと答えざるをえません。演技の要素は多様でかつ一人一人にとって演技における課題もまちまちです。どんな演技がいい演技なのかその価値基準ですら曖昧です。もちろん経験や目指す目標によっても違ってきます。ラボではいろいろな演劇に役立つ「基本的な技術」に焦点を定め、そこを重点的に訓練することをコンセプトとしていますが、そもそも「何を基礎技術とするのか」についても、いまだ議論や検討を続けていますし、どの程度を目指すのかについても意見が別れる所です。(講師陣と勉強会を持って、だんだん明確にしていこうとしている途中です)それにしても、最低限必要といえる技術でも講座で田中さんがおっしゃっていたようにすぐには身に付きません。「(思い通りにならない)身体や意識を自在にするためには、訓練の継続が必要」というのが、やはりあたりまえのことです。
しかし、あえてこうした講座を行う理由の一つは、「じゃ、自分は何をスキルアップするの?」の「何」を見つけることが大事だからだと思うからです。自分の問題がはっきりすれば、日頃の練習や目的意識が向上すると考えられるからです。ひいては上達も早くなるという訳です。
今日の田中さんのワークショップはその「何」を見つけて帰ってもらうことが大きなテーマだったように思いました。シアターゲームやエクササイズを行なう中で、田中さんはそれが役者になぜ必要なのか、多くの「ヒント」を与えてくれます。「ピン」とくることも「?」なこともあったと思いますが、経験も関わり方も違う参加者ですから、全ての人に全て等しく響かないのは当然です。ワークの体験や田中さんの「ヒント」を通じてそれぞれが、自分にとっての「何」をつかんでいただければ、それがスキルアップへの大きな一歩だと思います。
2012年5月30日水曜日
高槻スキルアップクラス2日目
高槻現代劇場集会室を会場に、短期バージョンで行なわれているスキルアップクラスの2日目が行なわれました。
今日のメイン講師は大熊ねこさんが務めました。そして、今日は他の回に講師を務める全員が参加しての中身の濃いワークとなりました。
今日の講座テーマは「自分のからだの内の方を感じる」(大熊ねこ談)とのこと。
まずは写真のように、寝転がって自分のからだの一部分(腰や肩など)に意識を持ってゆくことから始まります。
まずは自分を感じ、それから空間や他者を感じる展開をへて、ペアになって相手を動かしたり(写真)、動かされてできたポーズを、自ら再現したりするエクササイズなどを行ないました。一連のワークを通じて、自分のからだを意識したり、相手や、空間、客観視点など、普段あまり気に留めない感覚が刺激されたと思います。
前回とはまた趣の違う内容だったので、受講生も新鮮だったのではないでしょうか。今回も担当以外の講師が一緒に受講したことで、彼らと組んでワークする中からも気づきがあったことでしょう。
今日のメイン講師は大熊ねこさんが務めました。そして、今日は他の回に講師を務める全員が参加しての中身の濃いワークとなりました。
今日の講座テーマは「自分のからだの内の方を感じる」(大熊ねこ談)とのこと。
まずは写真のように、寝転がって自分のからだの一部分(腰や肩など)に意識を持ってゆくことから始まります。
まずは自分を感じ、それから空間や他者を感じる展開をへて、ペアになって相手を動かしたり(写真)、動かされてできたポーズを、自ら再現したりするエクササイズなどを行ないました。一連のワークを通じて、自分のからだを意識したり、相手や、空間、客観視点など、普段あまり気に留めない感覚が刺激されたと思います。
前回とはまた趣の違う内容だったので、受講生も新鮮だったのではないでしょうか。今回も担当以外の講師が一緒に受講したことで、彼らと組んでワークする中からも気づきがあったことでしょう。
2012年5月23日水曜日
高槻でのスキルアップクラス
2012年5月22日(火)
昨年以来開講されなかったスキルアップクラスが、久々に短期バージョンとして高槻現代劇場にて開講されました。
スキルアップクラスが開講されなかったのには、いろいろ理由があるのですが、時間をかけてもう一度このクラスの意味や、内容を考え直したかったというのがその理由です。ちなみに、今回の短期バージョンをきっかけに、再び京都で、できれば高槻でも継続重視型のスキルアップクラスを開講したいと思っています。ご期待ください。
さて、今回の短期バージョンのクラスは4人の講師が1回づつ交代でメインのファシリテーター(もしくは指導)を行ない、他の講師もワークに参加したりします。
本日のファシリテーターは、「インプロ」と言われる即興で演じる演劇をやっておられる木村雅子さんが務めました。本日は初回ということもあって、初顔合わせとなる受講者が自由に演じられるようになるために、シアターゲームと呼ばれる「遊び」を多用した講座です。今回は後に講師を務める平岡秀幸さんと田中遊さんもワークに加わり、受講生と共に一連のワークを行ないました。相手に心を開いていきながら、伝える、伝わるというシンプルな行動をゲームを通じて、楽しく体感することから始まり、集中を高めだんだん創造的な要素も加わってゆくように、発展する流れになっています。
こうした「遊び」を使った練習で鍛えられる、演劇に必要な多重な感覚(相手から受け取ったり、感じとったことを素直に反応したり...など)、は実は即興演劇だけでなく、台詞のある「ドラマ」でも役にたちます。(もちろん継続的に行なって、感覚を磨く必要はありますが)今回の短期バージョンのスキルアップクラスでは、そうした練習法をいろいろ紹介し、体験してもらいながら自身の問題に気づいてもらいたいと思っています。単発受講もまだ可能ですので、興味がある方いらしたらぜひお問合せ下さい。
昨年以来開講されなかったスキルアップクラスが、久々に短期バージョンとして高槻現代劇場にて開講されました。
スキルアップクラスが開講されなかったのには、いろいろ理由があるのですが、時間をかけてもう一度このクラスの意味や、内容を考え直したかったというのがその理由です。ちなみに、今回の短期バージョンをきっかけに、再び京都で、できれば高槻でも継続重視型のスキルアップクラスを開講したいと思っています。ご期待ください。
さて、今回の短期バージョンのクラスは4人の講師が1回づつ交代でメインのファシリテーター(もしくは指導)を行ない、他の講師もワークに参加したりします。
本日のファシリテーターは、「インプロ」と言われる即興で演じる演劇をやっておられる木村雅子さんが務めました。本日は初回ということもあって、初顔合わせとなる受講者が自由に演じられるようになるために、シアターゲームと呼ばれる「遊び」を多用した講座です。今回は後に講師を務める平岡秀幸さんと田中遊さんもワークに加わり、受講生と共に一連のワークを行ないました。相手に心を開いていきながら、伝える、伝わるというシンプルな行動をゲームを通じて、楽しく体感することから始まり、集中を高めだんだん創造的な要素も加わってゆくように、発展する流れになっています。
こうした「遊び」を使った練習で鍛えられる、演劇に必要な多重な感覚(相手から受け取ったり、感じとったことを素直に反応したり...など)、は実は即興演劇だけでなく、台詞のある「ドラマ」でも役にたちます。(もちろん継続的に行なって、感覚を磨く必要はありますが)今回の短期バージョンのスキルアップクラスでは、そうした練習法をいろいろ紹介し、体験してもらいながら自身の問題に気づいてもらいたいと思っています。単発受講もまだ可能ですので、興味がある方いらしたらぜひお問合せ下さい。
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