高槻現代劇場を会場に行なわれた、全4回のスキルアップクラスの最終日でした。
本日の講師は平岡秀幸さんで、テーマは「関係性とは何かを知る」ということだったのではないでしょうか。舞台上で役者が相手役の行為(ことば)をどう受け止め、それがどう自分に影響するか(変化として現れるか)について、丁寧に見てゆく(感じてみる・意識する)ワークショップが行なわれました。
さて、講座の冒頭に参加者から前回まで3回のワークショップの感想を聞いたのですが、複数の方から「思っていたのと違ったので戸惑った」という声が聞かれました。演劇のワークショップなので、「台詞を使うかと思ったら使わない」であるとか、「いいのか悪いのかわからなくて戸惑った」といったなどなど。もっともな感想が聞かれました。
そして、今日のワークではやっと(4回目にして!)、台詞を使ったのですが、台詞そのものの練習というよりは、その台詞が実感を伴って伝わるため(伝わるようにするため)に、「関係」をつくる意識がいかに重要かが示されました。結局「(舞台上で本物のように見える)関係を作ることのできる身体の状態を知る」ことと「相手役からのアクション(働きかけ)にどう反応するか」という非常に重要で本質的なエクササイズが主な内容となりました。
台詞を期待した皆さんごめんなさい。
平岡さんが話されていたように、演技の訓練には「表現の訓練」と「表現のための訓練」があって、前回まで3回のワークショップは後者だと平岡さんは思っている、ということでしたが、やはり今回も内容を見る限り「表現のための訓練」だったのではないかと思います。本当の意味で「表現の訓練」にまで到達するには、「表現のための訓練」を十分に経たメンバーによる時間をかけた集団創作など、ある一定の技術レベルと表現に対する高い意識、そして時間が必要なのかもしれません。
かといって「表現のための訓練」は簡単なのか?というと、これまたそうではないというのが実感です。このスキルアップクラスが行なおうとしているのは、自由で創造性にあふれる柔軟な表現を生み出す為の、最低限必要な力を養おうということであり、表現できるようになる為の身体や、意識を鍛えることだといえます。言い換えれば結局「表現するための訓練」そのものかもしれないと改めて考えました。