×する
○なる
何かをする演技ではなく、「なる」演技を目指すこと。
こんな日記があるとする。
「昨日、マクドでごっつい美人を観て、すごくはしゃいでしまいました。」
この日記を人前で読む時に、どんな意識を持ちうるのか/考えうるのか。
いま → この日誌を読む時点
マクド → マクドにいたとき
書く → 日記を書いた
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補足;いまとは、現在形で、プレゼンテーションしている意識。マクドとは、過去形で、その出来事を体感しているときの意識。書くとは、これまた過去形だが、出来事を回想して、それを意識化している時の意識。だと思います。
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上記3つの意識を、どのようにコントロールするのか? 濃度の違いをどのようにしていくのか。単純化して演じると、芝居がつまらなくなるのではないか?という仮設
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補足:単純化とは、過去の再現を熱心に行なおうとするあまり、現在形の感覚を忘れてしまう(我を忘れてしまう)といったこと。演じる上で、いまを忘れないということが重要だという話が以後続きます。
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今 → 俳優、セリフを知っている劇 → 役柄、セリフを知らない
上記二つの状態を、どう意識するのか?しかし、通常私たちは、このような分散をしているはず。
この時大事なことは、今にいることby木村さん(インプロの講師)
今の感覚に従うことの重要性
ここで、田中さん突然短いテキストを書く。
「おはよう」「おはよう」「げんき?」「うん。ありがとう」
それを即座に参加者にやってもらいます。
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ファシリテート的補足★参加者の積極的な参加を、躊躇なく、促すことの重要性。ここまで短いテキストで、とても簡単なものだからこそ、参加者の能動性が高まる。そのあと、すぐにフィードバックもできる。
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多少なりとも、何らかの演技プランを考えたみなさん。そうしたプランを考えたり、この場の空気を捉えたり、そういった全てが、俳優の意識である。しかし原理的には、舞台上でそういった事を考えてはいけないという側面もある。
木村さん(インプロの講師)がやっていたことを意識すること。
空間を意識、その場にいるひとを意識。
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所感:セリフが入っている状態が俳優としての在り方。しかし、役柄としての在り方としては、セリフは入っていない。セリフを思い出そうとしたり、ここはこのように動くんだったっけな、といった事を意識することは、原理的に舞台上で行なうことは良くない。しかし同時に、セリフや段取りが入っている/いない、というアンビヴァレントな状態こそが、俳優とも言える。との事だったと思います
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俳優である意識について、座学を進めながら、以下のようなゲームも行ないました。
★指差しゲーム(トラストゲーム)
俳優を歩かせます。コーヒーカップ、ぐるぐる回す意識で。砂糖混ぜても、粒子が混ざって行く意識で。空間を意識し、まんべんなく存在するように、歩き続けます。
・歩きながら、人を1人意識します(選びます)。
・講師の合図で、全員が目をつぶってとまります。
・その時、右手で意識していた人を指差せるかどうか。
※意識する人は、2人、3人と増えます。
狙い:意識の多重化、空間の把握など
★ピンポンパンゲーム
★ビンバンボイーン
*いまを感じるゲームとして、行ないます。
*自分の両隣の人を、じぶんの身体と考えて見るとやりやすいかも?
そして、ピンポンパンゲームから、呼吸の話にいきました。
ピンポンパンゲームができない俳優は舞台に上がらない方が良いだろう。身体がアクティブな状態をつくっていきましょう。
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所感:ピンポンパンゲームは、反射的な要素が多いゲームだと思います。頭でやっていては、ゲームのグルーブに追いつけない場合があるため、頭ではなく、今に全意識を集中させるといった方向性の話になっていきました。ここで面白いのが、呼吸の話に展開したことです。ここは追求するとかなり面白い話になっていくと思いました
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コミュニケーションゲームを少しやった後、実技に入りました。
とても短い実技であるからこそ、俳優のクセが如実に出てきますし、
俳優が演技をする上で、どういった事に気をつければ良いか、クリアーに見えてきます。
★驚く演技
驚く演技をどのようにやるのか。
出力だけを考えるのは、よくない。
ギアを外すと、上っ面になる。
だからこそ、呼吸で操作をすることが必要だ。
機械を用意すること。
★思い出す演技イズミヤ、りんご
*何を忘れたかわかっているけれど、忘れたフリをする演技。
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所感・補足:驚かされることがわかった状態で、驚く演技をする難しさ。(思い出すも同様)。一般的に俳優がやりがちなのが、「今の驚き方はいまいちだったから、もっと声を出して、動きも大きく、驚いてみよう」なのですが、田中さんが言う「出力だけで考えてはいけない」とは、まさにこういった状態のことなのです。田中さんは、俳優の話をされる時に、こんな素敵なギア玩具を持ってきて、出力と入力の話を説明してくれます。
つまり、全ては繋がっているということです。ギアだけ外すというのは、「驚く」における表面的なことだけをやってしまう場合を言っており、本来は「驚く」に至まで、様々なギアが絡み合っているから、驚く前の状態を意識していこう、といった話でした
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短い実技の訓練の後、アクション、リアクションの話になっていきました。これもギアですね。右のギアがまわるから、こちらのギアもまわる。
最後に、田中さんがおっしゃっていた言葉で、印象的だったものを書きます。この言葉を話されている時、田中さんは自分の出自も交えて話されていました。演技についての話なのですが、演技と人生を置き換えても、とても興味深いと思います。
演技にアクションは要らない。すべての演技はリアクションである。