2013年4月25日木曜日

外に現すこと


こんばんは。今日のブログ担当の平田です。

スキルアップクラス無料体験講座4回目、今日の講師は平岡秀幸さんです。平岡さんはいつも脚本を使ったワークショップをされる方で、今日もロミオとジュリエットの一部を使ったワークショップでした。

初めに、参加者みんなで「演技とは何か?」という話をしました。わたしは役に入り込みながらも冷静に演じることと考えましたが、それぞれに色んな意見が出ました。その中で平岡さんがおっしゃったのは自分という仮面を外すことです。人は、普段の生活の中でも家に居る自分、学校にいる自分……と何かしら違う態度や行動、つまり演技をしています。役を演じるとき、役という新しい仮面を被るのではなく自分という仮面を外し、その状態で演技をすることで表現出来る「その役」というものがある、ということでした。

 さて、まずは部屋の両側に2人で向かい合って立ち、お互いに「ロミオ」「ジュリエット」と呼びかけます。しかし「ロミオはジュリエットを好き」、「ジュリエットはロミオを嫌い」という前提で呼びかけます。何度か呼びあった後、次は前提はそのままに「好き」「嫌い」を相手に伝えることを意識して呼びかけます。それにより、声が大きくなる、身振りが加わるなどの変化が現れました。

次は脚本を実際に読んでみます。まずは椅子に座って2人で向かい合い、ジュリエットと乳母の掛けあいのシーンを読みます。読みながら「それぞれの人物の目的はなんなのか?」「それぞれの立場はどのように変化していくか?」を考えます。目的には大きな目的、最終目的とそれを達成するための小さな目的があります。

例えばこのシーンはジュリエットが乳母をロミオのところに使いに行かせ、(2人の結婚についての)ロミオからの返事を聞き出すシーンです。ジュリエットは乳母からロミオの返事を聞き出したい、そのために何度もお願い!と言ったり、乳母を労わったりします。乳母は最終的にはその返事を伝えますが、少し意地悪をしてなかなか返事を言わなかったり、ジュリエットをからかうようなことを言います。

立場の変化というのは、まずジュリエットの方が乳母より社会的な立場は上です。しかしロミオからの返事を知っている乳母と、それを聞きたいジュリエットの間では乳母の方が上の立場になることもあります。

そのような目的、立場の変化を考えながら読み、次は実際に立って動いてみます。

感情というのは自分の中で作った上で、外に見えるように出さなければ伝わりません。その時に使うのが身体です。上のシチュエーションでは、ちょっと意地悪をしたい乳母は別の方向へ歩いて行き、それをジュリエットが阻止し……途中から台本を外し、動きだけでそれを表現します。「疲れた」と椅子に座ろうとする乳母をジュリエットが邪魔し、その場に座り込んでしまった乳母を慌てて労わり、椅子に誘導するジュリエット。途中、椅子に誘導するために椅子の方へ目配せをする、という動きが入ると「それはセリフを言っていたらやらない動き」と言われ、なるほどと思いました。感情を伝えるために動きがあって、大袈裟で嘘っぽい演技をしてしまっているときは、説明過多だったり本当は不要な動きをしているからなのかなと思いました。

また、あくまで演劇である以上、完全に動かされることは出来ません。椅子に誘導される、という動きも100パーセント相手に身を委ねてしまっては動けませんし、かといって自分で動いているのが観ている人にわかってしまっては嘘っぽくなってしまいます。この加減がとても難しく、説明はわかっても今日だけではなかなか習得出来ませんでした。こういった練習は、台本に出て来ない限りあまりやらないですが例えば自分でシチュエーションを設定して(起こされる、殴られるなど)普段からやってみることも出来るなと思いました。

自分の中で役を作り込み、それを外に出す、という両方が伴って初めて演技になると感じました。後者はやはり難しく、色んな練習の仕方を地道に学んで実践していきたいと思いました。