とはいえ、翻訳劇や古典劇を上演したり、400席以上の広い空間で上演する場合には、拡声装置を使ったとしても、やはり「声」と「セリフ術」は観客に伝える要素として、重要になる可能性はいまでも高いと思います。もっと積極的ないい方をすると、生身の人間が表現することが「演劇の魅力」だとするならば、声を始めとする身体のあらゆる部分を創造的に活用することが、演劇をより豊かにするはずです。独特のセリフ術だってあっていいはずです。

長いセリフを、よく伝えるのにはやはり技術が必要です。今日のレッスンはより効果的に伝えるための一つの方法を学ぶといったところでしょうか。(正解を学ぶということではもちろんありません)若い劇団さんの舞台を見させて頂くと、声やセリフ(発話)について意識的である所は少数の印象です。こうしたことに意識的であることこそが、(映像と差別化できるという意味で)「演劇的」であるぐらいの積極的な考えで、独創的な手法の開発も含めて、こだわってみるのもいいのではないでしょうか。